ピアノ塗装の下地処理木地調整
ピアノ塗装の下地処理木地調整

ピアノ塗装の下地処理木地調整

前回はSteinway Zの全塗装(剥離まで)でした
今回は下地処理です

木地調整

ここからは木目の仕上げの最も重要な作業、木地調整です。
下地処理という感じですね
出来るだけ平らに研ぎつつ残っている塗料を削り取る。
黒や白、その他の色で塗りつぶしてしまうならそれでOKですが、木目塗装の場合(綺麗な木目塗装をしようとするなら尚更)はもっともっと削っていきます。

木の日焼け

表面の塗装は紫外線の影響などで色が飛んでしまったり塗装が劣化してしまったりするんですが、その下の「木」自体も日焼けして色が飛んでしまいます。
褪色した部分は基本的に色が薄くなって木目がボヤけて濃淡が少なくなっちゃうんですね。

そういう部分は少し削ってやると徐々に木目(色や濃淡)が復活してきます。

わかりにくいかもしれないけど、こんな感じです。

木部に残った塗装や染み込んでる塗装を削り取るのはもちろん、木部についたキズもなるべく削って消していきます、そして紫外線やなんかに侵されて褪色しいる木目の鮮やかさを甦らせるのもこの作業。

でもこの作業は限界があって。というのもピアノの木部の表面はコンマ数ミリの突板(化粧板)。
削りすぎたら突板が透けたり、下手をすると突板がなくなって下の接着層が出てきちゃったりして、、、そうなったら綺麗に直すのはめちゃめちゃ難しくて、超ハイレベルな修理が必要なります。

でもなるべく鮮やかな木目を復活させたい。なるべくキズもなくしてパテの箇所を減らしたい。
どこをどれだけ削るか見極めが肝心ってことですね。

木目の色を甦らせる

これは親板。
“剥離しただけの部分” と “すこしだけ研いだ部分” と “しっかりと研ぎ込んだ部分” をあえて作ってみました

  • ① 剥離しただけの状態(まだ元の塗装が少し残ってる)
  • ② 残った塗装を削り落としただけの状態
  • ③ 濃淡が出てくるまで研ぎこんだ状態

ここまで研ぐとだいぶ木の持っている色が出てきます
そこから木地着色でさらに木の持っている美しさを引き出すことができるわけです

残念ながらここまでやるピアノ塗装屋はほとんどいません。上にも書きましたが見極めを誤るととんでもないことになるから。
だいたいのピアノ塗装は塗料に色を入れて木目を濁らせることで研ぎムラや木目をごまかした塗り方をしてしまいます。(塗装費用が比較的安価なパターンは間違いなくこれです)
修復塗装となると、ほぼ間違いなくそんな感じです。

それが悪いとは言いませんが、(突板とは言え)貴重な天然木を使ったピアノを再塗装する。
そのピアノにとって一生に一度、、よくて二度くらいでしょう。
やっぱりどうしてもいい加減にはできませんね。

リフィニッシュされたピアノで『これは綺麗だなぁ〜〜〜』と思ったことは一度もありません。
もし密かにピアノ塗装に情熱を注ぎ込んでる職人さんがいたら是非知り合いたい。連絡ください。
語りあいましょう。

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