ベヒシュタインフルコン作業
長いこと作業してきたベヒシュタインのフルコンですが、ついにフレームが乗りました。
フルコンの黒艶消し塗装(黒サテンフィニッシュ)は正直かなりの難関でした。
今回はなんとかうまく塗れましたが黒艶消し塗装は自分の技術力と判断力を試されるというか、今の能力の限界を感じる仕事でもあります。もっと綺麗な仕上がりに、より自分の理想の仕上がりに近づけたい。今の自分には出来ないことを全部つきつけられるような感覚。ちょっと大げさかもしれないですけどね。笑
絶対に忘れちゃいけないこと
そして同時に思い出させられるのは、これは仕事だということ。
あたり前のことですが、自己満足のためではなくて
自分がやっているのは『お客様が自分にくださった仕事』だということです。
お客様が何を求めていてどういう仕事をすれば十分に満足してもらえるのか、それに応えることこそが重要なこと。
必要以上の仕上がりの美しさなんて求めてないかもしれないし、大事なのは時間かもしれない。もしくは限られた予算の範囲での仕事かもしれない。
もし時間や予算が限られているなら、どうすればその中でお客様の希望に叶えられるかを導き出して結果で応える。そして、ちょっとしたキズの補修や簡単なクリーニングだけという仕事から全塗装や復元、オーバーホールなどまで全て同じ考え方で取り組む。。
それがプロとして仕事をするという事だと考えています。
(なんてカッコいい事を言いつつも自己満的追求もしたくなってしまいます。そんな葛藤をしながらやっているということです。笑)
フレームボルト類のメッキ処理
フレームのネジ類はメッキ剥がれやサビが酷かったので再メッキしました。
こんな状態が、、、 こうなります アップで
メッキ業者に頼むのも一つの手ですが綺麗な仕上がりを求めるとかなりの高額になるので、数年前から自前でメッキをやり始めました。(ニッケルメッキです)
何もわからない完全な初心者だったので最初はぜんぜんうまくいかず何度も挫折して、、、安定化電源装置を買って電流と電圧の調整やらメッキ液の作り方やら試行錯誤して、ようやく最近コツをつかんできて失敗なく綺麗にメッキ出来るようになってきました。
やればやるほどプロってすごいなと思いました。
頼むと数万円〜2桁万円になるメッキ代も頷けます。。。
おまけ、サンダー掛け動画
先日ベヒシュタインフルコンの屋根にサンダーがけしている動画をインスタグラムに上げたのでこちらにも載せておきます。
これは鏡面仕上げをする時の最初の平面出し作業。(このベヒは屋根の裏と鍵盤蓋の内面はポリッシュ仕上げなのです)
インスタグラムの投稿動画はこちら
スタインウェイB型の解体はじめました
そして次の全塗装ピアノは110年前のスタインウェイのB型
解体して脱弦〜フレーム降ろしまで。
このピアノの入荷時の投稿はこちら⇨1911年製ニューヨークスタインウェイB型がアメリカからやってきました
フルコンが完成したら一気に取り掛かります。