今進めているのは『Steinway Z』
こちらのピアノ屋さんからご依頼いただくのはワタクシが独立してから初
初なんですが昔から知っているピアノ屋さん
このピアノの作業をしているとある思い出が蘇ってきます。
思い出
依頼の電話をくれたのは横浜にあるとあるピアノ屋に勤める調律師の女性でした、、、
ワタクシがこの業界に入って間もない頃、いくつものピアノ業界関係の業者が集まる慰安旅行みたいなものがありました。(23年くらい前なのでね。。22歳でした)
師匠に連れられてそこに参加していたのですが、弟子入りしてまだ2、3ヶ月のワタクシは誰も知らず、ピアノのこともピアノ業界のことも知らず、仕事のことも何もわからないという状態で、まわりの人達はみんな顔見知りのようで仲良くワイワイガヤガヤと楽しそうに話していて。
自分はかなり緊張していて。。。
もともとお酒が大好きだった私は、とりあえず目の前にあるお酒をガバガバと、またガバガバと飲んで緊張を和らげるしたありませんでした。
酔って緊張をほぐそうとしたんですが宴会場で出てきたビールでは酔っぱらうこともできず、、、
そしたらたまたま目の前に置いてあったんですねスミノフのボトルが。
そのボトルを1本飲み、だいぶいい感じになっていたんですが、、そしたら、、、
『私のお酒がない!!』『私が持ってきたお酒がない!!』って大騒ぎしてる女性が。。。
んで、僕はですね、「あっ、、やべー」「オレだ。。。」って思って。
すぐにそう思ったんですが、誰も知らない一人ぼっちのワタクシは
「あっっ!ごめんなさ〜い」「僕が飲んじゃいましたー」なんて言えず
ただ黙っていたのでした。。。まぁバレていたでしょうけど
(流石に酔っ払っていた僕は、その後のことは憶えていません。。。)
その女性が今回、依頼の電話してきてくれた人なんですよ。
あの時はすみませんでした。ごめんなさい。。。と私の心が言っています。
作業中、このピアノが目に入るたびにそのことを思い出しています。笑笑笑
ポリ塗装の剥離
そんなsteinway Z
依頼内容は全塗装。日焼けして色も褪せてしまっているので塗り替えです。
当然気持ちが入りますので全力でやっています。
この『Z』
今回のものは下地がポリ塗装されていて艶消し “サテンフィニッシュ”です
それをオープンポアで仕上げていきます。
『Z』は基本的にオープンポア仕上げなんですが、解体した時にわかる細部の具合をみると最初からポリを使った塗装だった気がします。なのでこういう仕様もあったんだと思ってますし、今も思っています。(過去にも何度もこの仕様のものをやりましたし)
でも実際、“オリジナルでクローズドポア”のものも本当にあったんですかね?
知っている方がいたら是非教えていただきたい。
で、まずは塗装の剥離ですが、このピアノはポリが入っているのでちょっと厄介です。
ポリは剥離剤が効きづらいので剥離に時間がかかります。
剥離剤を塗り、乾かないように塗り足しながら数時間
ある程度剥がれてきますが、それでも結構な面積が剥がれずに残っちゃいます。
残ったポリを剥がすのは本当に骨の折れる作業で、熱をかけると比較的剥がしやすくなるんですが突板が浮いてしまったり焦げてしまう可能性があるので見極めが難しいんです
慎重に熱をかけたりスクレーパーで引っ掻いたりして何とかトラブルなく剥離は完了
今回はここまで。
次回は塗装前の下地作業(木地調整作業)研ぎ の話です。
サンドペーパーでゴシゴシ。
下地の研ぎは木目塗装にとってすっごく重要な作業であって、難しくもあり、だからこそ奥が深い面白い作業(地味だけど。笑)です。