STEINWAY Z オープンポア全塗装完成
STEINWAY Z オープンポア全塗装完成

STEINWAY Z オープンポア全塗装完成

完成していたSTEINWAY Z オープンポア全塗装が依頼主のピアノ屋さんに戻っていきました。

『すごく綺麗に仕上げてくれてありがと〜』とわざわざ電話してくださり、なんだかとても嬉しい気持ちになりました。

今回のZは下地がポリ塗装のサテン仕上げで日焼けで木部の色もとんでしまっていたのでポリを剥離して丁寧に木目本来の濃淡を引き出し木地調整。仕上げはオープンポアで仕上げました。

まず解体しポリ剥離

ポリは剥離剤が効きづらいので剥離に時間がかかります。

剥離剤を塗り、乾かないように塗り足しながら数時間
ある程度剥がれてきますが、それでも結構な面積が剥がれずに残っちゃいます。

残ったポリを剥がすのは本当に骨の折れる作業で、熱をかけると比較的剥がしやすくなるんですが突板が浮いてしまったり焦げてしまう可能性があるので見極めが難しいんです

慎重に熱をかけたりスクレーパーで引っ掻いたりして何とかトラブルなく剥離は完了

木地調整

ここからは木目の仕上げの最も重要な作業、木地調整です。
下地処理という感じですね
出来るだけ平らに研ぎつつ残っている塗料を削り取る。
黒や白、その他の色で塗りつぶしてしまうならそれでOKですが、木目塗装の場合(綺麗な木目塗装をしようとするなら尚更)はもっともっと削っていきます。

木の日焼け

表面の塗装は紫外線の影響などで色が飛んでしまったり塗装が劣化してしまったりするんですが、その下の「木」自体も日焼けして色が飛んでしまいます。
褪色した部分は基本的に色が薄くなって木目がボヤけて濃淡が少なくなっちゃうんですね。

そういう部分は少し削ってやると徐々に木目(色や濃淡)が復活してきます。

わかりにくいかもしれないけど、こんな感じです。

木部に残った塗装や染み込んでる塗装を削り取るのはもちろん、木部についたキズもなるべく削って消していきます、そして紫外線やなんかに侵されて褪色しいる木目の鮮やかさを甦らせるのもこの作業。

でもこの作業は限界があって。というのもピアノの木部の表面はコンマ数ミリの突板(化粧板)。
削りすぎたら突板が透けたり、下手をすると突板がなくなって下の接着層が出てきちゃったりして、、、そうなったら綺麗に直すのはめちゃめちゃ難しくて、超ハイレベルな修理が必要なります。

でもなるべく鮮やかな木目を復活させたい。なるべくキズもなくしてパテの箇所を減らしたい。
どこをどれだけ削るか見極めが肝心ってことですね。

木目の色を甦らせる

これは親板。
“剥離しただけの部分” と “すこしだけ研いだ部分” と “しっかりと研ぎ込んだ部分” をあえて作ってみました

  • ① 剥離しただけの状態(まだ元の塗装が少し残ってる)
  • ② 残った塗装を削り落としただけの状態
  • ③ 濃淡が出てくるまで研ぎこんだ状態

ここまで研ぐとだいぶ木の持っている色が出てきます
そこから木地着色でさらに木の持っている美しさを引き出すことができるわけです

塗装作業

塗装の前にどうしても残ってしまったキズにパテ
それから木地着色して(木地着色とは塗装する前の木に着色材を染み込ませて色をつける作業のこと)

そしてやっと塗装です。
下地塗装をして、パテの部分に木目を描き、またまた着色剤で色味を微調整して、上塗り塗装していきます。

オープンポアの塗装作業はこんな感じ

組立て

そして各部のフェルトを新品に貼り替え、ペダルとか真鍮部品を磨いて、底板などの塗装されていないパーツの汚れなどを落として

底板のバネやネジ類のサビも綺麗に落として。

こうやって細かい部品まで綺麗なると本当に気持ち良いですよね

塗り直して新品みたいになったパーツをキズつけないように慎重に組み立てて完成!

自信を持って仕上げているつもりでも、「本当に満足してもらえるかな」「ちゃんと期待に応えられてるかな」と納品されるまでいつもドキドキしています。

でも今回も満足していただけたようで本当に安心しました👍👍

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