今回はピアノの外装に使われる木材について話したいと思います。
現代のピアノの外装というのは簡単に言うと『合板』で出来ています
高級な良いピアノは合板ではなく無垢の木を使っていると思う方もいるかも知れませんが、そんな事はありません。
なぜなら無垢の木よりも合板の方がピアノ外装の材料として優れているから。
家具や建具でも同じだと思います。
木は天然の素材なので温度や湿度の影響を受けて変形します。
無垢の木だとその影響をモロに受けて反ったり割れたり、と変形してしまいます。
合板は基本的に薄くスライスした木を何枚も重ねて作られています。
しかも木の目の方向をタテヨコタテヨコ、オモテウラオモテウラと交互に重ね合わせて作るので反りや割れにとても強いのです。
長期間にわたって変形せずに形を保つには合板が1番という事です。
それに薄い板をそれぞれカーブさせながら貼り合わせていけば、グランドピアノのボディのような曲面を作り出すのも比較的簡単です。
木目のピアノの様に、木材の美しい木目を魅せる場合も限られた希少な資源を最小限の消費で済ます事が出来ます。 合板の1番オモテ面に薄くスライスしたものを貼れば良いのですから。
その1番オモテに貼られている 見せる(魅せる)ための板を『突板(ツキイタ)』と呼びます。
その突板もカンナがけするように剥く(むく)方法や、大根の桂剝きのように剥くロータリーという剝き方、、、、、と、どんどんめちゃくちゃマニアックな話になってしまうので割愛
そんな感じで合板の技術が発達した現代、ピアノはそのように作られています。
で、本題です。
ひどいです。 突板が剥がれまくっています。
ネジ入れにしてる箱にガーシュウィンって書いてあるからガーシュウィンのマクリとエグリでしょう。きっと。
突板が酷く損傷しているので一度全部綺麗に剥がして新しい突板を貼り直していきます
まずはひたすら古い突板を剥がしていきます
突板を貼る面を丁寧に木地調整して
新しいチークの突板を専用の接着剤で貼って木工作業は終わりです
写真はここで終わりですがこの後まだまだ作業は続き
木地着色 ⇨ 下地塗装 ⇨ 色合わせ ⇨ 上塗り ⇨ 仕上げ研ぎ ⇨ バフがけ ⇨ 仕上げ磨き
とやって修理完了です