剥がれない鍵盤木口(小口)を剥がす
剥がれない鍵盤木口(小口)を剥がす

剥がれない鍵盤木口(小口)を剥がす

ヤマハの剥がれにくい鍵盤木口の剥がし加工

ヤマハのある時期の鍵盤は非常にしっかりと張り付いていて剥がれないものがあります。

鍵盤小口というのはピアノの白鍵の正面の部分、小さな正方形のように見える部分。

劣化して黄色く変色してしまった鍵盤小口は磨いても綺麗にならないので貼り替えが必要になります。

例えば外装のクリーニングなどをしてピアノが綺麗になったとしてもココが黄ばんだままじゃカッコ悪いですよね。

少し前にも1台ご依頼いただいたのですが、その時の記事はこちら


その時をキッカケに自作の治具を作りこの剥がれない鍵盤小口剥がしを始めました。

今回、ちょうど同じ時期に3件の依頼があり3台分続けての作業になりました。

1台目

1台目は以前からお世話になってるとある調律師さんからのご依頼。
『鍵盤小口の投稿見たよー(FBかな?)、うちのも頼めるかなぁ?』と電話をいただき、「もちろんですよー」とお預かりしました。

この時期の鍵盤小口は本当に本当に剥がれないんですよ。
頑張っても普通のやり方じゃこうなります。

こういう小口剥がし専用の道具を使ったり、小口の境い目にカッターを当ててハンマーで叩くというやり方の人もいますが、そういう普通のやり方では絶対に上手くいきません。

こんな感じで綺麗に剥がしていき、あとは貼っていくだけの状態にしてお返ししました。
ボロボロになっていた最低音の鍵盤はダメになっていた部分を削り取り木を継ぎ足して直しておきました。(1本だけだったのでサービスです)

2台目

そしてもう一台の鍵盤小口。こちらも普通では剥がれないタイプの鍵盤小口です。

このピアノは、おそらく一番仲良くさせてもらっている調律師さんだろう『したんだピアノ』さんからのクリーニングも含めた依頼でした。

こちらも同様にすべて綺麗に小口を剥がして(小口を剥がすだけで貼り作業はしません。依頼主は超ベテランの技術者さんだから当然僕の出る幕はありませんね)

こんな感じで完璧に綺麗に剥がして四反田さんにバトンタッチです

でも、外装クリーニングはこっちのものです。申し訳ありませんが調律師さんとはレベルが違います! (実際、クリーニングくらいでは偉そうに言うほど違いはありませんが。笑笑)

そしてクリーニングした本体に修理を終えた鍵盤と完璧に直されたアクションを取り付け

というか、四反田さんの修理はホントすごいなといつも感心させられます。(いつもロックな塗装屋を褒めてくれるからではなくね。笑)

したんだピアノさんのページはこちら

自分も長いこと本当に良い修理とは何かって、自分に甘くならないように常に意識して(四反田さんの言葉を借りるならダークサイドに落ちることなく)お客様に求められている以上の仕事をするのは当然の事と考え、その上でちょっとでも今の自分に出来ることの先を求めてやってきて。(大袈裟だな)
今までたくさんの技術者さんと関わってきましたが、その中でもトップレベルの技術者さんだなといつも感心させられてます。(ずいぶん上から目線だな!)
こういう技術者さんと関われて色々学ばせてもらって本当にありがたいなと思います。

そんなこんなで外装クリーニングは気合入れて抜かりなくバッチリと。裏側などのカビや汚れなどもすべて綺麗にして細部までこだわって作業しました。
少し古いピアノではありますが、このピアノを手に入れるお客様はホントにラッキーだと思います。

3台目

3台目は調律師さんからではなくピアノ運送屋さんから。外装クリーニングと鍵盤小口貼り替えのご依頼でした。

実はこれは剥がれない小口ではなくて、普通の技術者さんでも剥がせるタイプの小口でしたが、同じように自作の道具で問題なく剥離して、剥がすだけじゃなく貼り替えて整形するところまで全てやりました。久しぶりに。(作業中の写真はまた撮り忘れましたが。笑)

こういう修理作業をすると修行時代を思い出します。

特に修行を始めて間もない頃は塗装屋としての仕事も出来ることはほとんどなく、当然ながら給料も非常に少なくて、訳あって実家というものがなかった自分はアパートを借りて一人暮らしをしながらやっていかなければならなくて、毎日朝から晩まで塗装屋の修行をしつつ夜中はカラオケ屋でバイト(晩ご飯食べさせてくれるので)をしながらなんとか暮らしてるという状態でした。

そんな中で修理技術を学びながらお金ももらえる鍵盤貼り替えのバイトはとてもありがたいものでした。
ただ今と違って特殊な道具はなくて(買うお金もなかったし)、濡れ雑巾とアイロンで古い鍵盤を剥がして、剥がした鍵盤や余ってるアクリル鍵盤を細かく砕いてアセントンに溶かして接着剤を作って、新しい鍵盤を貼り、1本ずつ万力で挟んで余分な部分をヤスリで削って整形するという本当に昔ながらのやり方で。。。

夜にやるので出来るだけ早くやらないとその分寝る時間が削られて、、、つまり早く削らないと睡眠時間が削られる。。。という笑
しかも必死でヤスリがけするから手の皮が擦り剥けていつの間にか血だらけに。笑
そして鍵盤に血がついちゃって。。。
ヤバいっっ親方に怒られるっっっ😭という感じで。
下手やってやらせてもらえなくなったらヤバいと思い必死でした。

それも今となってはホントにとても良い経験でした。絶対に二度とやりたくありませんが。

そんな昔を思い出しつつ作業しました。

困っていたら

今は白鍵全部の貼り替えを引き受ける余裕はありませんが、小口貼り替えならいつでもやりますのでもし困ってる方がいましたらお気軽にご相談ください。

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